チーン

24H営業のスーパーがある。
夜中にお腹が空いた時等に重宝する。
午前2時、お腹が空いた。
深夜のスーパーの雰囲気は嫌いではない。
気のせいか?少し薄暗い気がする。
BGMは無い。
静まりかえった店内。
お客は、自分の他に2組ぐらい。
通路には品出しのカートがずらりと並んでいる。
カートの間をすり抜ける様に歩いていく。
見廻してみるとパートさんは3人ぐらい。
大量のカートの数からして、3人では過重労働
ではないかと心配になったが、そんなに
テキパキ作業している感じでもない。
時間はたっぷり与えられているのだろう。
心配ない。
あずきバーを1箱取ってレジに向かう。
カバーの掛かっていないレジがひとつだけある。
レジ横の台にチーンが置いてある。
たまにビジネスホテルのフロントとかに
あるやつ。
「御用の方は押してください」と書かれている。
このチーンは、ピアノの鍵盤を弾くように
押さなければ音は出ない。
ブザーの様にベタ押しではダメだ。
しかしながら、強くはじき過ぎれば静まり
かえった店内に大音量で響き渡ってしまう
かもしれない。
慎重にそっとはじく様に押す。
チーン。
我ながら実に丁度良い塩梅のチーンが出せた。
。。。来ない
。。。誰も来ない
聞こえ無かったか?
もう一回押すか?
いや、ここでもう一度押せば、
「なにしとんや、早よこんかい」
という意味になってしまう。
来た!
競歩の選手みたいに歩いて来た。
「店内では走るな」等の社内ルールでもあるの
だろうか。
店員≫≫いらっしゃいませ。
僕 ≫≫すみません。
帰りの車中、あそこで「すみません」は適当
じゃなかった。
たとえあずきバー1箱であろうと僕は、
お客なのであった。
たとえ割り込み作業になったとしてもそれは
彼女の仕事なのだ。
「お願いします」ぐらいが丁度良かったかな。